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がん保険に「見直し」が必要な理由とは?見直しのデメリットや、通院保障・先進医療保障の必要性も解説

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「がん保険は、社会人になったときに入っているから心配ない」
「がんになっても、手術と入院が保障されれば大丈夫」

こんな理由で、ずいぶん前に加入したがん保険が、そのままになっていませんか?

実は、がんの治療法はどんどん進歩しているため、過去に加入したがん保険のままでは保障が不足している可能性があります。また反対に、リスクへの保障が必要以上に手厚くなっているケースもあるでしょう。

適切な保障を受けるためには、加入しているがん保険の内容を定期的に確認し、必要があれば見直し(乗り換え)を検討することが大切です。

この記事では、がん保険の見直しが必要な理由や、見直しを検討すべきがん保険の特徴を、わかりやすく解説していきます。

目次
野口裕幸
野口裕幸ファイナンシャルプランナー
所有資格
AFP、生命保険募集人
専門・得意分野
保険全般、相続対策、事業承継

大学卒業後、大手損害保険会社勤務を経て独立。保険会社時代は代理店営業、新入総合職員の研修担当に従事する。独立後は、FPとして生命保険をはじめとした保障の見直しや、中小企業経営者への事業承継・相続対策などの提案業務を行う。地方ローカル局にて、お金にまつわる話題を取り扱うラジオ番組「おしえて野口さん!」を23年継続放送中。

ヨノハル
ヨノハル 経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。メガバンク、生命保険会社などでの業務経験を活かして生活に役立つ金融情報を発信中。

がん保険の「見直し」はなぜ必要なのか

がんというと、少し前までは「不治の病」のイメージがありました。しかし、現在は医療技術の発達により「治る病」に変わってきているのをご存じでしょうか?

受ける治療が変わったことで、がん保険で必要とされる保障も変化してきているのです。
まずは、がん保険の見直しの必要性を知るために、がん治療がどのように変わってきたのかを確認していきましょう。

がんの入院日数は短期化している

がんと診断されると、入院日数はどのくらいかかるのでしょうか。
厚生労働省が実施している「患者調査(令和2年)」によると、がんの入院日数は平均で19.6日となっています。

平成8年(1996年)には46.0日だった入院日数は、26年間で半分以下になっています。がんの進行度や手術の方法などによっては、数日で退院できるケースもあり、がん保険で入院保障を手厚くする必要性は低くなってきました。

がん治療は通院にシフトしている

【がんの入院患者数・外来患者数の推移】
【コラム】がん入院患者・外来者推移(がん保険)

※出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立のガイドライン」P28をもとに作成

上のグラフのとおり、がんの入院患者数は減る一方で、外来(通院)の患者数は増加しています。これは、かつて入院が必要とされていた治療が、現在は通院で行われるようになったためです。

罹患部位にもよりますが、例えば、以前は抗がん剤治療が1回につき1週間ほどの入院が必要だった治療も、通院だけで対応可能なケースもあります。

また、高齢化社会や公的年金の財政難などから、国の方針が通院治療・在宅治療を増やす方向にある点も、通院治療が増えている原因です。

入院治療前提の昔のがん保険では、給付金をもらう機会が減り、十分なメリットが受けられない可能性があるのです。

これに伴い、がん保険でも通院治療に対する保障を受けられる商品が増えています。通院期間は長期化する可能性もあるため、治療費だけでなく、治療中の収入の減少などにも備えておくと安心です。

先進医療の治療費は全額自己負担になる

先進医療とは、厚生労働大臣が承認している最新の医療技術のことです。革新的な治療法が多くある一方で、確立から間もないため健康保険(公的医療保険)が適用されません。つまり、先進医療の治療費は全額自己負担になります

がんの先進医療としては、「陽子線治療」と「重粒子線治療」の2つが有名です。

これらの先進医療は保険医療になっている放射線治療よりも照射範囲が狭く、集中的な治療ができるので、照射の回数が少なく済みます。

平たく言うと、「体へのダメージを最小限にできる」という便利な特徴があるのです。将来的には医療保険の対象になる可能性もある治療方法ですが、残念ながら現在はそれぞれ高額な技術料(治療費)がかかります。

治療法 1件あたりの平均技術料
陽子線治療 265万9,010円
重粒子線治療 313万5,656円

※出典:厚生労働省「先進医療会議『令和5年度実績報告』」をもとに作成

このような高額な費用を見ると、先進医療を受けることは経済的にむずかしいと考える人も多いでしょう。

しかし実際には、年間で、陽子線治療は824件、重粒子線治療は462件も実施されており、がん治療のために先進医療を選択する人は決して少なくありません。これは、がん保険の特約(オプション)に含まれる「先進医療特約」を利用しているためです。

■先進医療には「先進医療特約」で備えられる!
現在のがん保険には、「先進医療特約」というオプションをつけられる商品が多くあります。この特約をつけることで、先進医療の高額な技術料を給付金でまかなえるようになります。先進医療特約の保険料は月額100~200円ほどなので、小さな負担で大きな保障がつけられます。

先進医療による治療を選択肢のひとつとして考えている人は、先進医療特約をつけておくと安心です。

見直しが必要ながん保険とは?6つのポイントを解説

では、見直しが必要ながん保険には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
そんな方のために、見直しが必要ながん保険を簡単に見分けられるポイントを、6つにわけて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

ポイント1 入院保障が1日目から受けられるか

入院保障が1日目からになっていないがん保険は、見直しの必要性が高い保険です。
例えば、「入院5日目からの保障」となっている場合は、5日未満の入院では給付金を受け取れません。

がんの入院日数は短期化しており、中には日帰り手術や通院だけで完了するケースもあります。どんなケースにも対応できるよう、入院1日目から保障されるがん保険への見直しを検討しましょう

ポイント2 「一時金」は給付されるか

昨今、がん保険の保障のなかで注目をされているのが、一時金タイプです。このタイプは、がんと診断されたときに、200万円、300万円などのまとまった金額の給付を受けられるのが特徴です。

がんの治療中は収入が減少するリスクがあり、治療が長期化すれば、治療費や日々の生活費などの支払いが困難になる恐れがあります。特に、十分な貯蓄がない人や、貯蓄を切り崩したくない人は、一時金タイプのがん保険への加入を検討しておきましょう

ポイント3 「通院治療」の保障がついているか

既に解説したとおり、がん治療は通院で行うケースが増えているため、「通院保障」の必要性が高まっています。加入しているがん保険に通院保障がついていない場合には、早めに見直しを検討しましょう

ポイント4 「抗がん剤治療」の保障がついているか

現在のがん治療の中で最もポピュラーな治療方法が抗がん剤治療(化学療法)です。抗がん剤の保障がついているかいないかで、いざという時の負担は大きく変わってきます。

抗がん剤治療は、数年にわたるケースも少なくありません。治療が長期化すると経済的な負担が大きくなるため、治療にあわせて給付金を受け取れるようにしておくと安心です。

※治療に対する給付金には、「放射線治療」に対して支払われるものもあります。

ポイント5 上皮内新生物が保障対象になっているか

上皮内新生物(上皮内がん)とは、上皮内にとどまっているがんのことで「ステージ0期のがん」ともいわれます。治療には手術や放射線治療などが必要になりますが、従来のがん保険では、上皮内新生物は保障されないケースがほとんどでした。

しかし、現在のがん保険の多くは上皮内新生物までしっかり保障されています。契約中のがん保険が古い場合は、見直しの際に注意したいポイントになるでしょう。

ポイント6 「先進医療」の保障がついているか

先進医療にかかる治療費は、全額自己負担になります。受ける治療(技術)によって費用は異なりますが、1件500万円を超える高額なものもあります。

先進医療に対しては「先進医療特約」で備えることで、がんになったときの治療の選択肢を広げることが可能になります。

以上が、見直しの必要ながん保険の6つのポイントです。
自分のがん保険の保障内容を見直したときに、「手術+入院+一時金」というシンプルなものになっている場合は、現在のがん治療と保障内容が合わなくなっている可能性がありますので、専門家に見直しの相談をすることをおすすめします。

がん保険を見直すときの注意点・デメリット

がん保険の見直しには、注意点やデメリットもあります。見直しをする際には、次の3点を確認してから手続きを進めましょう。

保障を受けられない90日間の免責期間がある

一般的にがん保険は、加入後90日間(3カ月間)はがんになっても保障を受けられない免責期間が設けられています。これは主に保険加入時の告知が簡単な質問項目のみの場合が多く、すでにがんにかかっていると本人が認識または疑いを持った方の加入を排除する目的で設定されています。

保険料が高くなる可能性がある

がん保険に限らず生命保険は、加入する年齢が上がるほど保険料が高くなるのが一般的です。そのため、見直しをする年齢によっては、保険料がこれまでよりも高くなる可能性があります。

保険を見直す際には、将来にわたり支払い可能な保険料になっているかを確認した上で行いましょう。

健康状態によって見直しができない場合がある

がん保険に加入する際には、健康状態の告知が必要です。告知の内容によっては、保険に加入できない可能性もあるため、見直しをする場合には、新しい保険への加入が完了してから古い保険を解約しましょう

まとめ

がんはかつて、「不治の病」というイメージがありましたが、現在は早期発見されることが増え、生存率も上昇しています。入院期間も短くなり、仕事をしながら通院で治療を続ける人も増えてきました。

がん保険に必要とされる保障も多様化しており、過去に加入したがん保険のままでは、いざがんにかかったときに必要な保障を受けられない可能性があります。

まずは、加入済みのがん保険の保障が足りているか、また、無駄な保障が手厚くなっていないかを確認し、必要があれば見直しを検討しましょう。

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大学卒業後、大手損害保険会社勤務を経て独立。保険会社時代は代理店営業、新入総合職員の研修担当に従事する。独立後は、FPとして生命保険をはじめとした保障の見直しや、中小企業経営者への事業承継・相続対策などの提案業務を行う。地方ローカル局にて、お金にまつわる話題を取り扱うラジオ番組「おしえて野口さん!」を23年継続放送中。

ヨノハル
ヨノハル 経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。メガバンク、生命保険会社などでの業務経験を活かして生活に役立つ金融情報を発信中。

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