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がん保険は本当にいらないの?特徴から必要性まで徹底解説!

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がんは、三大疾病に数えられるほど、日本人にとって身近な疾病です。
そのため多種多様ながん保険が発売されていますが、一つの疾病に特化しているだけに「医療保険と何が違うの?」「がんだけに備えるのって無駄にならないの?」と疑問を持つ方も多いかと思います。

この記事では、そんながん保険の必要性や特徴について、「必要とされる理由」「不要とされる理由」の両面から解説しています。がん保険の加入に迷っている方は、ぜひご一読ください。

目次
野口裕幸
野口裕幸ファイナンシャルプランナー
所有資格
AFP、生命保険募集人
専門・得意分野
保険全般、相続対策、事業承継

大学卒業後、大手損害保険会社勤務を経て独立。保険会社時代は代理店営業、新入総合職員の研修担当に従事する。独立後は、FPとして生命保険をはじめとした保障の見直しや、中小企業経営者への事業承継・相続対策などの提案業務を行う。地方ローカル局にて、お金にまつわる話題を取り扱うラジオ番組「おしえて野口さん!」を23年継続放送中。

若林 美樹
若林 美樹3級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門・得意分野
銀行関連業務(融資、資産運用)

大学卒業後、大手地方銀行に就職。融資業務に加え、投資信託・保険商品等の資産管理業務を担当。退職後はライターとして独立。複数の大手WEBメディアにて執筆実績あり。

日本の三大死因の一つはがん

2022年の厚生労働省の統計によると、日本人の三大死因は、がん(悪性新生物)、心疾患、老衰です。中でもがんは、1981年から40年以上、日本人の死因第1位となっています。厚生労働省によれば、がんは全死因の約4分の1を占めており、およそ3割の人ががんにより亡くなっていることが分かります。

日本人の死因を示した円グラフ。上位から、悪性新生物 (腫瘍)24.6%、心疾患(高血圧性を除く14.8%)、老衰11.4%、脳血管疾患6.8%、肺炎4.7%、誤嚥性肺炎3.6%、不慮の事故2.8%、腎不全2.0%、アルツハイマー病1.6%、血管性及び詳細不明の認知症1.6%、その他26.1%

※出典:厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況:「概況」をもとに作成

では、具体的にどのような層にとってリスクになる病気なのでしょうか?
がん保険の必要性を知るためにも、まずはがんについての基本情報をまとめてみました。

年齢ごとの主な死因は?

年齢別の死因を見ると、がんは0歳を除く全ての年代で第三位までに入っていることがわかります。特に5歳~9歳、40代~80代では、がんは最も多い死因となっています。

■年齢別の主要な死因
【コラム】年齢別の主要な死因(がん保険)B

※出典:厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況:第7表 死亡数・死亡率(人口10万対),性・年齢(5歳階級)・死因順位別をもとに作成

一般的に、がんは中年以降の病気というイメージがありますが、小児やAYA世代といわれる若年層でも、がんで亡くなるリスクは少なくありません。

性別ごとのがん罹患リスク

日本人が生涯でがんになる確率は、男性65.5%、女性51.2%とされています。(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。がんは2人に1人がかかると言われる通り、罹患率は非常に高いと言えます。

全ての年代・性別において罹患リスクはありますが、実は、性別によって特にかかりやすくなる年齢や部位が異なります。

    性別による罹患率(かかりやすさ)の特徴
  • 男女共通:20代半ばから上がりはじめる
  • 女  性:20代〜50代半ばまでは男性よりも高い
  • 男  性:50代から上昇率が高まる。50代後半には女性を追い越し上昇し続ける

【コラム】性別ごとの癌罹患数2019(がん保険)

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス:がんの統計 2021(刊行:公益財団法人がん研究振興財団)をもとに作成

女性は若いうちから、乳がんや子宮がんといった女性特有のがんにかかる人が増えはじめます。そのため、20代~50代半ばまでは罹患率が男性よりも高くなるのが特徴です。

一方、男性は、50代前半から大腸がん、50代後半からは胃、前立腺、肺がんに特にかかりやすくなります。

また大腸がんは、女性でも50代になると罹患率が高まるため、男女共通して50代以降は特にがんへの備えが必要になってきます。

がんの死亡率と生存率(5年相対生存率)

日本人が生涯のうちにがんで死亡する確率は、男性26.2%、女性17.7%とされています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。

つまり、がんになるのは2人に1人の割合ですが、その後にがんで亡くなるのは、男性では4人に1人、女性では6人に1人ほど、という計算になります。男女ともに依然高い割合ではありますが、一方でよい情報もあります。それは、がんの5年相対生存率が上昇していることです。

"5年相対生存率とは、がんと診断された場合に治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つです。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体(正確には、性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団)で5年後に生存している人の割合と比べてどのくらい低いかを表します。100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救い難いがんであることを意味します"

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス:用語集

下表のとおり、5年相対生存率は右肩上がりで推移しています。

■全てのがんにおける5年相対生存率の推移
【コラム】がんにおける5年相対生存率の推移(がん保険)

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス:年次推移_4.がんの生存率をもとに作成

2009~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率(男性62.0%、女性66.9%)は、1993~1996年に診断された人と比べて、男性では13.1%、女性では7.9%上昇しており、今後も上昇が期待されています。

がんは長らく日本人の死因第一位を独占してきましたが、医療の発達により治る人も増えている病気なのです。

がん治療にかかる費用

医療の進歩などを背景に、がんの入院日数は短期化しています。一方で、通院治療は増加傾向にあります。そのため、入院・通院の両方への備えを考える必要があります。

■がんの入院患者・外来患者推移
【コラム】がん入院患者・外来者推移(がん保険)

※出典:厚生労働省 事業場における治療と仕事の 両立支援のためのガイドラインをもとに作成

がん治療の柱は、外科治療(手術)、放射線治療、抗がん剤治療の三つです。手術は入院を伴うことが一般的ですが、放射線治療、抗がん剤治療は通院で行うケースが増えています。
ケースによってさまざまな対応が必要になりますが、ここで気になるのが治療費=お金の問題です。

がんの入院治療にかかる治療費の目安

入院治療にかかる費用は、厚生労働省の統計からおおまかに算出することができます。あくまで目安ではありますが、代表的ながんの入院治療費は以下のようになります。

【コラム】がんの入院治療にかかる治療費の目安

※出典
平均入院日数:厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況:「3 退院患者の平均在院日数等」より
治療費:「政府統計の総合窓口(e-Stat)」調査項目を調べる-厚生労働省 令和2年度「医療給付実態調査・第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」より、統計表点数(金額)÷件数にて算出
1日あたりの治療費:3割負担の治療費÷平均入院日数にて算出

がんの通院治療にかかる治療費・通院期間の目安

通院治療にかかる費用は、治療法やがんの種類、進行度などによって異なります。
今回は、通院治療がメインの放射線治療・抗がん剤治療を例に通院期間を見ていきましょう。

    放射線治療・抗がん剤治療の一般的な通院期間と頻度
  • 放射線治療:土日をのぞいて毎日実施、期間は1日~2カ月程度
  • 抗がん剤治療(化学療法):週1~月1回のペースで実施、期間は数週間から2年以上になることもあります

入院・通院以外でも費用はかかる

さらに、がん治療にかかる費用は治療費だけではありません。交通費や検診費など、次のような費用がかかってきます。

    治療費以外にかかる主な費用
  • 通院にかかる交通費(バス・タクシー代、ガソリン代など)
  • 入院中の日用品、消耗品にかかる費用(レンタルの場合はレンタル代
  • 入院中の食事代(一般的に1食460円)
  • 差額ベッド代(1日あたりの平均金額6,527円 ※1人~4人部屋全体の平均)
  • 診断書や証明書の発行費用(1通あたり5,000円~10,000円)
  • セカンドオピニオンにかかる医療費
  • リハビリ費用
  • 定期検診費用
  • その他、治療中の生活費、居住費(賃貸料や住宅ローン)、子どもの学費など

「保険に加入する」「預金で備える」と、がんへの備え方は人それぞれですが、がん治療には想定以上にお金がかかります。リスクや治療法についてよく考えた上で、余裕を持って費用計画を立てるのをおすすめします。

がん保険が不要とされる理由

ここまで、がんの罹患リスクや死亡率、必要な費用を見てきましたが、実際に世間の人はどのくらいがん保険に備えているものなのでしょうか?
2022年に行われた生命保険文化センターの調査によると、がん保険・がん特約に加入している人は39.1%と、約4割の方ががん保険に加入しています(出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 《速報版》 )

逆に言えば、程度の差はあっても約6割の方は「がん保険は必要ない」と判断していることになります。その背景にはどういった理由があるのか、考えられるポイントをまとめてみました。

    がん保険が不要とされる主な理由
  • がん保険に加入しても給付金を受け取れないケースがある
  • 高額療養費制度で医療費をまかなえる可能性がある
  • 先進医療や自由診療を受けなければ医療費が抑えられる
  • がん罹患率の低い世代は加入メリットが少ない

がん保険に加入しても給付金を受け取れないケースがある

保障内容をよく確認しないまま加入すると、いざという時に給付金が受け取れない場合があります。がんになっても保障の対象外となるのは、主に次の4つのケースです。

・責任開始日前にがんになった場合
がん保険では、一般的に契約日から3カ月(90日)後を責任開始日とし、そこから保障がスタートします。それまでの期間は免責期間とされ、がんと診断されても給付金は受け取れません。

これは、すでにがんに罹患しながら保険に加入した人に対する、給付金の支払いを防ぐための仕組みです。

・上皮内新生物が保障対象外となっている場合
上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内にとどまっているステージ0期のがんです。発見されるがんのうち10.9%は上皮内新生物ですが、上皮内新生物が保障対象外となっている商品の場合には給付金は受け取れません。

最近は、上皮内新生物でも保障が受けられる商品が増えているため、加入の際には保障対象となっているかを確認するようにしましょう。

・診断給付金(一時金)に回数制限がある場合
診断給付金とは、がんと診断されたときに給付される、まとまった金額の一時金のことです。給付回数が初回1回のみとなっている商品では、再発や転移などによる2回目以降の診断時には給付金は受け取れません。

給付が複数回受けられるタイプや、回数無制限の商品を選んでおくと安心です。

・自由診療が保障対象外となっている場合
がん保険には、自由診療(日本では未承認の治療や投薬など)を保障の対象外としている商品があります。

自由診療の費用は、公的医療保険が適用されないため全額自己負担となります。自由診療に対する保障がほしい場合には、自由診療を保障対象にしているがん保険を選ぶほか、がんと診断された時点でまとまった金額が受け取れる一時金タイプを、自由診療の医療費として充当することも可能です。

高額療養費制度で医療費をまかなえる可能性がある

高額療養費制度とは、1カ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超過分が還付される制度です。これにより、負担額が大幅に軽減されます。

上限額は、年齢と所得区分によって定められています。

【コラム】70歳以上の医療費上限額(がん保険)

【コラム】69歳以下の医療費上限額(がん保険)

※出典:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ をもとに作成

表内の標報(標準月額報酬)とは、会社から支給される給与と、役付手当や残業手当、通勤手当などの各種手当てを合わせた総支給額のことです。
こちらを元に計算すると、年収のみが異なる次の2つのケースの上限額は、以下のとおり差が出てきます。

    【ケース1】
  • 年齢:69歳以下
  • 年収:500万円(標準報酬月額28万~50万)
  • 1カ月の医療費:70万円
  • ⇒ 80,100円 +(70万円ー267,000)× 1% =84,430円

    【ケース2】
  • 年齢:69歳以下
  • 年収:1,000万円(標準報酬月額53万円~79万円)
  • 1カ月の医療費:70万円
  • ⇒ 167,400円 + (70万円ー558,000円) × 1% =168,820円

かかった医療費が同額でも、所得が多い人ほど自己負担額が大きくなります。ひと月分の金額であれば収入や貯蓄などから支払える場合でも、長期にわたり支払いが続くと大きな負担になる可能性があります。

さらに、高額療養費制度を使ってもカバーされない費用やリスクがある点にも注意が必要です。

高額療養費制度で注意すべき点

高額療養費制度で、注意すべき点は主に以下の4つです。

  • 入院中の食費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは支給の対象外となる
  • 申請から支給までに3カ月程度かかるため、先に自己資金で立て替える必要がある(※1)
  • 治療の長期化、再発、転移などで、自己負担額が蓄積されると大きな負担になる
  • 先進医療や自由診療は支給の対象外となる

※1:事前申請も可能です。医療機関窓口にて「限度額適用認定証」を提出すると、窓口での支払額が自己負担限度額までになります。あらかじめ、医療費が高額になることが分かっている場合には、事前申請の活用がおすすめです

先進医療や自由診療を受けなければ医療費が抑えられる

がんになると、病状に適した標準治療(保険診療)を受けるのが一般的です。標準治療にかかる費用には、公的医療保険が適用されるため、医療費が高額になりがちな先進医療や自由診療と比べて、負担額が抑えられます。

一方、先進医療や自由診療にかかる費用(技術料)は、公的医療保険の適用外のため、全額自己負担となります。

■標準治療、先進医療、自由診療の比較表

治療の種類 公的医療保険の適用範囲 自己負担割合
標準治療(科学的な根拠に基づいた最良の治療) 全て適用される 原則3割負担
先進医療(厚生労働大臣が承認した治療) ・技術料は適用外(※1)
・通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料等)は適用される
・技術料は全額自己負担
・通常の治療と共通する部分は、原則3割負担
自由診療(国内で未承認の薬などを用いた治療) 全て適用外 全額自己負担

※1:一部、厚生労働大臣により公的医療保険の適用が認められている治療法もあります

上記のとおり、標準治療のみを受ける場合は、先進医療、自由診療と比べて治療費を抑えられます。
また、標準治療と自由診療の両方を受けた場合には、どちらにも公的医療保険が適用されなくなります。標準治療・自由診療ともに全額自己負担となってしまうため、注意が必要です。

先進医療、自由診療を受ける可能性

高額な治療費が発生しても、先進医療、自由診療を選ぶ人は少なくありません。

厚生労働省の調査では、1年間で2万6,556人が先進医療を受けたことが分かっています(出典:厚生労働省 令和4年 先進医療の実施報告)。また、先進医療にも該当しない、自由診療の治療を受けている人もいます。

がんになった場合の治療法として、先進医療や自由診療も選択肢のひとつに考えている人は、高額な医療費が発生する可能性も想定し、準備しておく必要があります。

がん罹患率の低い世代は加入メリットが少ない

若い世代はがんの罹患率が高くないため、がん保険の加入メリットが少ないと考える人もいます。

一方で、若い世代でもがんになる可能性はゼロではなく、リスクへの備えが不要とは言い切れません。

    若い世代(AYA世代・・・15歳~30代)のがんの特徴
  • 日本では毎年約2万人のAYA世代が、がんを発症すると推定されている
  • 年代別では、15~19歳が約900人、20代が約4,200人、30代が約16,300人
  • AYA世代でがんを発症する人は、がんを発症する100人のうち2人程度
  • 若年層でがんを発症する人は、遺伝を原因とする場合がある

保険に入っていない場合、治療費は収入や貯蓄などから捻出することになります。若い世代は収入や貯蓄が十分ではないことも多く、治療費の捻出が困難なケースも少なくありません。

また終身型の場合、がん保険は加入年齢が低いほど、毎月の保険料が安くなります。 がんの罹患率が高くなる50代以降になっても、保険料は変わらずに保障が受けられるため、若いうちから加入するのも一つの方法です。

がん保険が必要とされる理由

では、同時にがん保険が必要とされる理由も見ていきましょう。主な理由をまとめると、以下の通りです。

  • 50代以上に上昇するがんの罹患リスクに備えるため
  • 若年層でもがんになる可能性があるため
  • 治療中の収入の減少に備えるため
  • 入院の長期化や、再発・転移などで治療期間が長くなる可能性があるため
  • 治療費以外にかかる費用(生活費や居住費、子どもの教育費など)を備えるため
  • 先進医療や、自由診療を受けると治療費が高額になるため

これらを見るに、金銭・年齢的な問題が主要な懸念になっているのが分かります。
がんと診断された時に仕事に就いていた人のうち、5人に1人は治療を理由に退職に至っています。治療のために仕事を休職する人も半数以上おり、治療による金銭的な負担や収入の減少が、日々の生活に大きく影響するケースも少なくありません。

また、若年層でもがんになる可能性がある先進医療や、自由診療を受けると治療費が高額になるなど、「不要とされる理由」と懸念する点は同じでも、「可能性が低くても、万が一起こった場合の負荷が大きい」ケースを重要視する方もいます。

がん保険の必要性は、このような金銭的な不安や負担を軽減できる点にあります。

がん保険の特徴と保障内容を見る

がん保険が必要か不要かを判断するためにも、「がん保険はどのくらい不安をカバーしてくれるのか」を知ることが重要です。ここからは、がん保険の保障内容について見ていきましょう。

がん保険は、保障対象を「がん」に絞った保険です。がん以外の病気やケガへの保障は受けられませんが、がん保障に特化することで、がん特有のリスクに備えられる仕組みになっています。

がん保険の主な保障は次の4つです。

■がん保険の主な保障(給付金)の種類とメリット・デメリット

給付金(保障)の種類 特徴・メリット 注意点・デメリット
診断給付金(一時金) ・がんと診断されるとまとまった金額の一時金が受け取れる
・給付金の使い道は自由
・再発や転移など、がんと診断される度に複数回受け取れる商品がある
・給付回数が初回1回のみのタイプでは、再発や転移により再度がんと診断されても、給付金は受け取れない
入院給付金 ・がん治療での入院日数に応じた給付金が受け取れる
・一般的に、支払日数の上限はない(無制限)
・入院日数は短期化し、通院治療にシフトしている
・通院での治療には給付されない
通院給付金 ・がん治療での通院日数に応じた給付金が受け取れる ・退院後の通院のみを保障するタイプでは、入院前の通院は保障されない
・入院での治療には給付されない
・通算支払い限度日数が設定されている商品もある
放射線治療給付金
抗がん剤治療給付金
・所定の治療(放射線治療・抗がん剤治療)を受けた月ごとに給付金が受け取れるのが一般的
・入院、通院にかかわらず、治療に対して給付される
・所定の治療以外の治療には給付されない

このほか、手術給付金や退院給付金、先進医療給付金などがあります。商品によって主契約の保障内容や、つけられる特約(オプション)は異なります。

がん保険と医療保険のちがいは?

では、ここでよく比較されることの多い医療保険とがん保険の違いを見比べてみましょう。

■医療保険とがん保険の保障範囲のイメージ図
【コラム】医療保険とがん保険の保障範囲のイメージ図(がん保険)

図の通り、がん保険はがん保障に特化した保険です。一方、医療保険は、がんを含む病気やケガの治療に対して幅広く保障が受けられます。

がん保険 医療保険
保障対象 がん(悪性新生物・上皮内新生物)※上皮内新生物を保障対象外とする商品もある がんを含む病気・ケガ
主な保障(給付金) 診断給付金(一時金)
入院給付金
通院給付金
治療給付金
手術給付金
入院給付金
通院給付金
手術給付金
1回の入院における入院給付金の支払限度日数 原則無制限 一般的に、1回の入院につき、30日、60日、120日などの上限がある
通算での入院給付金の支払限度日数 原則無制限 1,000日、1,095日など
免責期間 原則無制限 なし

がん保険は、入院の長期化に備えられる保障内容になっています。また、がんと診断されたら100万円や300万円などの診断給付金(一時金)が受け取れるタイプでは、治療費をはじめ、あらゆる費用に柔軟に使用できるメリットがあります。

一方で、医療保険とがん保険は、選ぶ商品によって保障内容が重複するケースがあります。一般的には、加入済みの医療保険ではカバーされないがんの治療費を、がん保険で補うようにすると良いでしょう。

がん保険の適切な選び方

がん保険を選ぶときには、備えたいリスクと必要な保障を明確にすることが大切です。

診断給付金(一時金)が出るタイプを選ぶ

特に貯蓄が少ない人は、一時金のあるタイプがおすすめです。また「治療で働けない期間=収入0」になることが想定される自営業者やフリーランスの人なども、一時金の活用により治療の長期化などに備えられます。

通院治療に対する保障が受けられるか

がん治療は、通院での治療期間が長くなりやすいため、通院給付金や治療給付金が受けられると安心です。特に抗がん剤治療は長期化しやすく、数年続く場合もあります。

上皮内新生物(上皮内がん)が保障対象になっているか

上皮内新生物は、がん細胞が上皮内にとどまっている状態のことです。例えば女性では、子宮頸部のがんのうち68.1%が上皮内新生物となっていますが、上皮内新生物が保障対象外となっている商品もあるため注意が必要です。

特約の役割、カバーしたい保障は明確になっているか

特約は、主契約の保障を充実させるために任意でつけられるオプションです。つけられる特約は商品ごとに異なりますが、例えば、先進医療特約や退院後療養給付金特約、女性がん入院特約などがあります。
特約をつけた分だけ保険料は高くなるため、必要な特約を見極めることが大切です。

保険期間は終身タイプ(一生涯)か、定期タイプか

メリット デメリット
終身型
※保障期間は一生涯
・保障が一生涯続く
・保険料が一生涯変わらない
・定期型よりも保険料が高くなる
・保障内容の見直しが難しい
定期型
※保障期間を10年・20年など一定期間に限定
・終身型よりも保険料が安く抑えられる
・更新のタイミングで保障内容の見直しができる
・更新のタイミングで保険料が上がる
・年齢制限を超えると、更新ができなくなる

月々の保険料を少しでも抑えたい人、また一定期間だけ保障を手厚くしたい人(子どもが小さい時期や、住宅ローンの完済までなど)などは、定期型がおすすめです。一方、一生涯変わらない保険料と保障を受けたい人には終身型が適しています。

まとめ

かつて「不治の病」と呼ばれたがんは、今では「長くつきあう病」と言われるようになりました。
治療形態も入院から通院治療にシフトしており、通院が1年以上の長期にわたるケースも少なくありません。治療の選択肢が広がっていることから、かかる費用も治療法によって大きく異なります。

さまざまなケースが考えられるからこそ、「がん保険の必要性」もまた人によって異なります。
がん保険を選ぶときは、カバーしたいリスクと費用を明確にして、ニーズにあった商品を選ぶようにしましょう。

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若林 美樹
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